小売業の品管
昔あったこと、いまやってること、その他どうでもいいようなことを・・・・・

カレンダー

08 | 2006/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30



プロフィール

kumamusiです。 某小売業で、品質管理をやってます。 コメント、リンク歓迎です。

kumamusi

Author:kumamusi



最近の記事



カテゴリー



リンク



最近のコメント



月別アーカイブ



FC2カウンター



最近のトラックバック



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


ホモとヘテロ

商品の包材の膨張なんて、珍しいことではありません。酵母はいつもの加熱不良ですが、乳酸菌は悩ましい。特に、加熱後包装食肉製品だと対応を誤ると…・・厄介な事態を引き起こすのは、ほとんどが乳酸菌の仕業です。
ホモ発酵だと、7~8乗いっても別にどうって事ありませんが、ヘテロ発酵だと、ハムが黄色になったりピンクになったり、ガスで膨張したりなどなど…・・
ちなみに、当方ではグラム陽性で形状が合致し、カタラーゼ陰性、嫌気で生えてくる菌を乳酸菌と呼んでいます。

乳酸菌用培地
○ブイヨン
・ APTブイヨン
BBLが生産中止で、今はDIFCOから出ています。値段が高いのと、国内在庫がなくなることがあったので使わないままです。現在は国内在庫が常備されているようです。All Purposes というだけあって、乳酸菌以外にグラム陰性菌までも生えてきます。同業他社はほとんどこれです。
・ MRSブイヨン
こちらのほうがより一般的です。粉末培地があり、調整する手間が要らないので、現場で使っています。
・ GYP…・
自家調整します。GYP白亜寒天培地から、寒天と炭酸カルシウムを抜いたものです。Tween80を含めた無機塩類などを溶かしたものを作っておいて、滅菌前に添加するようにしています。大量に使用するときは、これを使用しています。
・ マルエル
これも自家調整。マルエル培地から寒天を抜いたものです。当方ではこれがメインです。
○寒天培地
上記のブイヨンに寒天を加えたものです。混釈培養するときは、GYP に限らず炭酸カルシウムを添加することがあります。表面塗抹するときには嫌気培養します。

場合によって、選択剤として上記の培地にアジ化ナトリウム、シクロヘキシミドを10ppmになるように添加しています。また、うまく生えてくれないときには、食品の抽出液をグロスファクターとして加えてやります。

乳酸菌用培地ではBCP加プレートカウント寒天培地が知られていますが、本来、発酵乳が規格基準に合致しているか測定するためのもので、クレームを起こす乳酸菌では生えてくれないものもあり、目的以外に使用することはありません。

乳酸菌で“おっとっと!!”となる商品は、必要があればやブイヨンで増菌。ブイヨンが白濁したらグラム染色。マルエルの平板に画線して嫌気培養。一般生菌数の試験で標準寒天培地に生えてきたものはグラム染色、カタラーゼ、純培養。検液をGYP やMRSでそのまま混釈培養することもあります。その後必要があればホモ・ヘテロを見ます。半流動培地に植え、パラフィンを重層してガスを観察するのが本来のやり方のようですが、ペトリフィルムACで代用しています。詳しくは、米国3M

ペトリフィルム AC

以上のサイトの「Petrifilm Lactic Acid Aerobic Count Plate Interp Guide - Instructions for Use 」をご覧ください。
ペトリフィルムACにMRSブイヨンを1ml滴下してスプレッダーで広げてやり1時間静置。その後、フィルムをめくって、菌を植えてやります。1枚で10個くらいは植えられます。これを嫌気培養。丈夫なポリ袋に使い捨てカイロと一緒に入れてやり、封をしてやればこれで十分。30℃程度で2日も培養すれば、ヘテロ発酵だと、コロニーにガスが発生しているのがわかります。ついでに、MRSブイヨンは、1mlずつネジ口試験管に分注し、滅菌後冷蔵保存しています。

スポンサーサイト

既知の微生物を含む試験品

試験を行う場合、ブランク試験を行うよう指示または推奨されています。
しかし、いろんな食品を一度に試験すると<300なんてのは当たり前に出てくるので、実はその必要性はあまり感じていません。どちらかと言うと、生えるはずのものが生えてこない、あるいは数が違ってるかもしれないというほうが気になります。
他の施設で一人で20年近く検査をやっていた検査担当に、同じ検液を10回繰り返し試験してもらって2σを求めたら、生菌数が3乗から6乗の範囲でばらつくという結果が出た事がありました。一人で何年もやってるとこんな事もありなんでしょう。
スタンダードとなるものがなかった頃、ISO 17025を取得した試験所の方から、農産品の粉体を用いてコントロールとし、結果のZスコアが3を超えたら、そのとき行った試験結果を検討すると聞きました。粉体だと、同じロットでは菌数はかなり一定だそうです。しかし・・・・当方では適当な菌数の粉体が手に入らない・・・・粉も結構きれいです。
ドライイーストやヨーグルトなども考えましたが、手間や均一性を考えるとなかなか困難が伴います。……・このとき試したM社の琴欧州ヨーグルトは、ロットが異なっても菌数が安定していて、内部での技能試験やトレーニングに活用させてもらっています。
後に栄研から枯草菌芽胞液が発売されました。これはすごいっ!!と思いましたが、値段が高い。小分けにして使っているところもありますが・・・
一度、小分けにしてやってみたら、やり方が悪かったのか、ばらつきが大きくて駄目。ゲル化剤でうまく分散させたら安定しましたが、これもなかなか面倒。
で、思いついたのがバイオロジカルインジケーター。Bacillus stearothermophilusを使っているものが多かったのですが、これは50℃以上48時間以上の培養が必要なので、通常に使えるものはないかと探したら、ありました。米国NAMSA社の放射線滅菌用のインジケーターです。菌数が安定していることでは評価の高いメーカーで、Bacillus pumilusを使用しており、これなら24時間で判定できます。

インジケーター


これ1枚に、希釈水を90ml加え、跡形がなくなるまでホモジナイズし、検液とします。そして、通常の検体を20検体試験するごとに1回使用しています。下が実際に使用した同一ロットのインジケーターのヒストグラムです。


ヒストグラム


大きく外れているのは、新人さんの作業でしょう。通常ホモジナイズの作業を1回以上失敗しないと体で覚えてくれないようです。全平均を回収率100%とすると、結果の半分は「精度管理の一般ガイドライン」の回収率70~120%に収まってくれるので、今のところ上出来かなと判断しています…・・そもそも、本来の使い方ではないし……腕が悪いのか、インジケーターの菌数のばらつきなのか…・??
もっと使いやすく、価格の安い標準品が出るまでは、これで管理しようと考えています。直近10回の数値で比較し2σを超えたら試験結果を検討しています。


グラム染色

「1時間で50はいける」と言ったら、驚かれてしまった…・・
このような事は最初が肝心なので、当方に配属される新人さんには通常のルーチンワークの中に、大腸菌群のIMViC(当然染色まで)、芽胞染色、Bacillus thuringiensisの結晶体毒素の染色を組み込み、みっちりやってもらっています。これが当たり前と思ってくれれば、染色を面倒な作業と感じなくなる・・・・・・

日常のルーチンワークでは、有用でない乳酸菌の特定や、簡易キットを使用するといった場合に行っています。また、選択培地でまぎらわしいコロニーが出たときなどに、迷わず試験を進めるため必要なワザです。なんにしても、細菌分類の基礎です。

最も有効だと思われるのは商品に膨張やネトが発生したときです。現物を直接グラム染色し、大体の菌叢・菌数が判断できれば、短時間で、およそのリスク評価や原因の特定が出来ます(!・・・・これは製造工程や流通経路を知らないと難しいか?・・・)

・・・・・その昔、MYPに生えた推定セレウスを、「ミニテック(のエンテリック。そんなものもあったな…簡易同定キットです)でも確認してます!!」といった新人さんがいたな…・

実際のやり方は以下のサイトがわかりやすく、当方で教科書代わりに使用させてもらっています。

http://www.aichi-amt.or.jp/labo/microbio/h11_kiso/H11kiso.pdf

スライドグラスは数が少ないときは一枚ずつ、数が多くなるとエタノールに漬けておいて脱脂。そんなことしなくても、脱脂したスライドグラスも売られています。で、菌を薄く広げて火炎固定。ピンセットや試験管挟みを使っているところもありますが、コルネット鉗子を使ったほうが確実に作業が出来ます。
菌量は、スライドグラスに濃い部分と薄い部分が出来るように広げるといったやり方もありますが、やっぱ修行でしょう。数をこなして適量を判断するしかないようです。固定の温度は、日油技研のサーモクレヨン80℃と90℃で練習用のスライドグラスを作っておいて、これでトレーニング。この温度が一番調子がいいようです。数が多くなると、火炎固定の代わりにエタノールで固定しています。教科書には出てこないやり方ですが、これで十分固定可能です。ただエタノールをかければいいだけですから慣れない人はこっちのほうが楽か…・食品から直接、又は液体培地から直接染色する場合も、脂肪分を流すような感じでエタノール固定しています。
染色は、西岡の変法で後染色はフクシンを使用。染色液は量を使うので、自家調整しています。

自家調整しなくても日水のフェイバーGセットのFとして売られています。後染色の色素にはサフラニンとフクシンがありますが、目の黒い人種はフクシンで染色したほうが見やすいとの事。これを蓋付き容器に入れておいて、スライドグラスを漬けて染色、脱色します。

ついでに、ヘアドライヤーは必需品です。

しかし、バチルスの中には、青く染まらないものがあります。新人さんがこれにヒットして泥沼にハマっていた…・芽胞はあるのにどうやっても赤く染まってしまう・・・詳しくは坂崎利一訳「医学細菌同定の手びき」をご参照ください。

染色液


黄色い脱色液の上に乗ってるのが、個人的に使いやすい「コルネット鉗子 玉付き」です。

再び牛乳

とある夏、牛乳が苦いとのクレームがポツポツと…・知ってる人ならピンとくる…・Pseudomonas fluorescens でしょ。早速、店頭から同じ製造者・銘柄の牛乳を買い込んできて検査。菌数は多くないだろうから、MPNで仕込みました。すると、超高温殺菌の牛乳にもかかわらず、一晩の培養で蛍光っぽい、きれいな薄緑に発色しているものがあるよ…・・平板に植え替え、生えてきたのを同定したら思ったとおり。充填機あたりからの微量汚染でしょう。しかし……それを製造者が“ありえないこと”と認めない(-_-メ) それなら、相手の目の前で実際に検出してやろうかと突撃準備をしていたら、なぜだか2週間ほどで収まってしまい、その後帳合い先が侘びを入れてきました…・帳合いでも検査したか……
また、別の製造者で牛乳が腐敗しているとのクレームが多発。その現物を飲んでみると確かに腐ってる。検査の結果もしっかり腐ってる。出てきた菌は一種類だったので、デソに出てきた大腸菌群(大腸菌群様コロニーと言うのが正解か)を同定してみたら・・・・Aeromonas hydrophilaだよ・・・・・オキシダーゼもしっかり陽性だし……
結構アセって工場に行くと、問題の商品の製造日、工場を揺るがす衝撃音と共に充填機が止まってしまったとのこと。充填機のノズルと送りのタイミングが狂い、いわゆる咬んだ状態になって修理に大騒ぎしたらしい。その時に汚染を受けて、運転再開時に殺菌が不十分でクレームにつながったか・・・・・乳製品のメーカーでは、停電でラインが停止した場合、通常復旧手順が決まっています。しかし、想定以上のトラブルは、冷静になって基本を踏まえて対応しないと事故につながるといった事例でありました。




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。